「介護職は給与が低いわりに重労働をさせられる大変な仕事だ」というのが、世間一般での介護職に対するイメージになっています。確かに、人間を相手にする職業は例外なく重労働が必要になるものです。しかし、給与の低さに関しては少々先入観があるかもしれません。
介護職の給与が安いと言われる原因の1つは、基本給の安さでしょう。介護の世界では、大卒の介護士の初任給が12万円台ということは珍しくありません。月給12万円といったら、一般的な基準ではかなりの安月給です。しかし、これは基本給のみの話です。
介護職の給与は、基本給のほかに各手当で構成されています。介護職の基本給が他の職種に比べて低いのは、介護職の基本給は施設利用者の介護保険から出ており、あまりたくさんの額を払うことができないからです。そのため、その分を手当で賄っています。つまり、介護職の給与は、手当が多くの割合を占めていることになります。その事実が無視され、基本給だけにスポットライトが当てられるため、介護職員の多くが月12万円で生活していると思われてしまっているのです。
介護業界全体の給与が大きく増えないことも、原因です。介護業界は、良くも悪くも景気の影響を受けづらい職種です。景気が良かろうが悪かろうが人は老いていくし、病気にもなります。そのため、介護業界が請け負う顧客の数が大きく変わることはありません。今後、介護業界がIT業界のように急に発展し、事業が拡大していくことも考えづらいでしょう。このように、給与の上限が見えてしまっていることから、給与が増えない仕事というイメージが定着してしまっています。